期限を先に決めてから無料カウンセリングに来る相談者は少なくありません。「3ヶ月で副業を始めたい」が典型です。この問いに一つの数字で答えると、ほぼ確実に嘘になります。同じカリキュラムを同じ期間で修了した人でも、初案件を在学中に取る人もいれば、卒業から半年たってようやくの人もいるからです。
それでも「人による」で終わらせるのは不親切です。そこでこの記事では、Web制作(HTML/CSS/JavaScript)の副業を前提に、案件が取れるまでの期間を4つの区間に分解し、当校AddedPallasの6ヶ月カリキュラムを物差しにして、区間ごとの時間軸を出してみました。先に全体像を置きます。
| 区間 | 何が起きる期間か | 目安 | 期間を決めるもの |
|---|---|---|---|
| ①学習 | カリキュラムを修了するまで | 当校は6ヶ月設計(週20時間想定) | スクールの設計と、あなたの週の学習時間 |
| ②納品水準への到達 | 「作れる」から「納期内に商品として仕上げられる」まで | 学習に組み込まれていれば0ヶ月。卒業後に自力で埋めると+2〜3ヶ月 | カリキュラムに実務水準の判定があるか |
| ③提案から初受注 | 提案を出し始めてから1件目が決まるまで | 2週間〜1ヶ月、提案10〜30件 | あなたの提案量 |
| ④初受注から月5万円 | 1件目から継続的な収入になるまで | 初受注から3〜6ヶ月 | 案件の規模と継続率 |
当校の設計で言えば、卒業後にポートフォリオを整えてから提案を始めた場合は受講開始から7〜8ヶ月、在学中のSTEP4以降に提案の準備を始めた場合は5〜6ヶ月で初受注、というのが運営の見立てです。②が卒業後に発生する短期スクールや独学では、学習が3ヶ月で終わっても合計はあまり変わりません。以下、なぜ4区間に分けるのか、当校の月数配分、提案の時計が別に動く理由、そして経過月数から「今どこで詰まっているか」を逆引きする判定表の順で書きます。
答えが一つにならないのは、4つの区間を決めているものがそれぞれ違うからです。①はスクールと学習時間、②はカリキュラムの設計、③はあなたの提案量、④は案件の積み重ねで決まります。どれか一つを縮めても、別の区間が伸びれば合計は同じです。
この分解で見ると、世の中の「◯ヶ月で副業」という表現がどこを指しているかが読めるようになります。「1ヶ月で副業デビュー」「3ヶ月で稼げる」は、ほとんどが①だけの話です。1ヶ月でHTMLとCSSの基礎講座を終えることは可能です。ただし、それは②③④が始まってすらいない状態なので、収入までの合計期間は短くなりません。逆に「稼げるまで平均1年以上」のような数字は、①から④までを一つに混ぜて平均した値で、こちらは実態より長く見えます。期間の話は、どの区間を指しているかを確認しないと比較できません。
もう一つ、分解する実用上の理由があります。「卒業したのに案件が取れない」と感じている人の多くは、①は終わっているのに②か③で止まっています。合計月数だけ見ていると「自分は遅い」としか分かりませんが、区間で見れば、止まっている場所と次にやることが特定できます。この逆引きは後半の判定表にまとめました。
AddedPallasのWeb制作コースは、5段階のSTEPで計6ヶ月です。各STEPの月数はカリキュラムのページで公開している配分で、ここに「案件の観点で何ができるか」を添えて時間軸にしました。
| 受講開始からの経過 | STEP | 案件の観点でできること |
|---|---|---|
| 0〜1.5ヶ月 | STEP1 初級(1.5ヶ月) | HTML/CSSだけで、動きのないサイトを作れる。提案はまだ始めない |
| 1.5〜2.5ヶ月 | STEP2 中級(1ヶ月) | JavaScript(jQuery含む)で動きのあるサイトを作れる。多くのスクールの卒業水準はここ |
| 2.5〜4ヶ月 | STEP3 上級(1.5ヶ月) | ピクセルパーフェクト・保守性のあるコード・納品速度を学び、単純な案件なら一人でこなせる水準に届く |
| 4〜5.5ヶ月 | STEP4 特級(1.5ヶ月) | 複雑な動きやシステムをJavaScriptで構築。このSTEPの間に、提案開始日と提案先を決めておく |
| 5.5〜6ヶ月 | STEP5 テスト案件(0.5ヶ月) | 納期を設定し、難易度の高いサイトを一人で制作。商品レベルかどうかを評価し、合格で卒業 |
| 6ヶ月〜 | 卒業後 | テスト合格とCTO面接を通過した方は業務委託契約で実務案件へ(保証ではありません)。並行して自分の提案を回す |
前提となる学習時間は週20時間です。週15時間で完遂した受講生もいますが、個人差があるので、これより少ない場合は期間が延びる前提で計画してください。週10時間なら、6ヶ月ではなく9〜12ヶ月を見ておくのが現実的です。なお、学習時間の一般的な目安として別の記事に書いた「週10時間×3〜6ヶ月・300時間前後」は、基礎から動きのあるサイトを作れる段階までの数字です。納品水準まで含む当校の設計は週20時間×6ヶ月でおよそ500時間になり、到達点が違います。勤務パターン別の時間の作り方は社会人向けWeb制作スクールの選び方の記事に書いたので、そちらに譲ります。
表を見ると、STEP2までが2.5ヶ月です。3ヶ月前後のカリキュラムを持つスクールの多くは、当校の基準で言うSTEP2の制作技術までを教えて修了になります。動きのあるサイトを作れるので「学習は終わった」と感じますが、案件で求められる水準はその先にあります。デザインカンプを1ピクセル単位で再現する、他人が直せるコードを書く、納期に間に合わせる。この3つは作れることとは別の能力で、当校ではSTEP3以降の3.5ヶ月を丸ごとここに使っています。
これが、冒頭の表で②を「学習に組み込まれていれば0ヶ月、卒業後に自力で埋めると+2〜3ヶ月」と書いた根拠です。当校の受講生には、他のスクールでこの②を経験した方が実際にいます。受講生の声から引くと、サービス業のS.Fさん(29歳)は「独学や他のスクールでコーディングを学んでいましたが、案件獲得もうまくいかずスキルレベルにも不安が残った状況でした」と入会の経緯を書いています。元教諭のA.Kさん(35歳)も「別のスクールで基礎は学んだものの実際には案件を取ることができず、現場で求められるスキルとの壁を感じる毎日でした」と振り返っています。お二人とも①は終わっていた。止まっていたのは②です。
STEP5のテスト案件は、この②を「感覚」ではなく「判定」にするための仕組みです。納期つきで一人で作らせて、商品レベルに届いていなければ卒業にしない。厳しいようですが、届いていないまま提案を始めると、③で断られ続けて心が折れる方が損失は大きい。テスト案件と業務委託制度が案件獲得にどう効くかは実務支援の記事で詳しく書いています。
当校の受講生の初案件は、大きく3つの時期に分かれます。在学中(STEP3〜4の時点で知人や前職のつながりから小さな案件を受ける)、卒業直後(業務委託制度の実務案件か、在学中に準備した提案が決まる)、そして卒業後に数ヶ月たってから。多くは前の2つに入りますが、3つ目の方も確かにいます。
3つ目になる方の共通点は、技術力の不足ではありません。提案を始めた日が遅いことです。次の章の話になります。
③の区間は、学習を何ヶ月やったかとほぼ無関係に、提案を何件出したかで決まります。目安は提案開始から2週間〜1ヶ月、提案10〜30件で初受注(数字の根拠と提案の実行手順は副業からフリーランスへの解説記事に譲ります)。ここでは③が伸びる仕組みだけを書きます。
③が伸びる人は、決まって「学習が全部終わってから提案を考える」順番になっています。卒業してからポートフォリオを整え、整ってから提案先を探し、探してから提案文を書く。1つずつが2週間かかれば、提案の1通目を出すまでに卒業から1ヶ月半が過ぎます。この1ヶ月半は、学習でも営業でもない空白です。
当校で早く初案件を取る方は、この順番が逆です。STEP4の段階で提案開始日を決め、テスト案件を作りながら提案先の候補を集めておく。早い方はSTEP4〜5の間に1通目を出し、遅くとも卒業した週には出しています。技術力が高いから早いのではなく、提案の準備を学習と並行させたから早い。③の時計は、提案の1通目を出した日から動き始めます。
もう一つ、学習中に済ませておくと③が縮むものがあります。会社員の方は、勤務先の副業規定の確認です。厚生労働省の副業・兼業の促進に関するガイドライン(2022年7月改定)で企業側の対応は整理されていますが、申請の要否や手続きは会社ごとに違います。初案件が決まってから「申請に1ヶ月かかると言われた」となると、③がそのまま延びます。就業規則の確認はSTEP1の間に済むことなので、先にやっておいてください。
ここからが、この記事で一番使ってほしい部分です。受講開始からの経過月数ごとに「この時点でできていれば正常」という基準と、できていない場合に詰まっている区間、その対処を書いた記事を並べました。週20時間で学習している前提の目安なので、週10時間の方は月数を1.5〜2倍にして読んでください。
| 経過 | できていれば正常 | できていない場合の詰まり | 対処を書いた記事 |
|---|---|---|---|
| 2ヶ月 | HTML/CSSだけで、見本どおりの静的ページを1枚、自力で作れる | ①の初期。学習順序の迷いか、エラーで数日止まる癖 | 独学ロードマップ(HTML/CSS) |
| 4ヶ月 | JavaScriptで動きをつけたページを作れ、デザインカンプをピクセル単位で再現できる | ①の中盤。JavaScriptで止まる典型的な壁 | JavaScriptで止まる理由の記事 |
| 6ヶ月 | 納期つきで1サイトを一人で完成させ、商品として出せる水準にある。提案開始日が決まっている | ②。作れるが納期内に終わらない、または作品はあるが商品水準か判断できない | 卒業制作を副業ポートフォリオに作り替える記事 |
| 7ヶ月 | 提案を10件以上出している | ③の入口。ポートフォリオの完成を待って提案を始めていない | ポートフォリオを作っても案件が来ない理由 |
| 9ヶ月 | 初受注している。または提案30件以上を出し、提案文の見直しに入っている | ③の後半。提案数が足りないか、提案文と作品が合っていない | 提案文の改善ポイントの記事 / 「やめとけ」記事の撤退ライン |
| 12ヶ月 | 2〜3件目を納品し、月5万円までの道筋(単価×件数)が見えている | ④。1件目で止まり、単価と時給換算に消耗している | 副業からフリーランスへの記事(単価相場と時給換算) |
この表で伝えたいのは、「◯ヶ月で取れない=向いていない」ではないということです。9ヶ月たって初受注がなくても、提案が5件しか出ていなければ、それは③がまだ始まっていないだけです。逆に、提案を30件出して0件なら、期間ではなく提案の中身を見直す段階に来ています。判定は月数と行動量をセットで行ってください。
なお、表の9ヶ月の行は「やめとけ」記事の撤退ラインと同じ月数を置いています。あちらは期間9ヶ月と提案50件の2点セットで「始める前に決めておく撤退基準」、こちらは「進行中に現在地を確かめる基準」という使い分けです。
スクールに通うことで縮むのは①と②です。③と④は縮みません。ここを曖昧にしたまま入会を勧める説明を、当校はしません。
①が縮むのは、学習順序の迷いと、エラーで止まる時間が消えるからです。独学で最も時間を失うのは「何から学ぶか」と「エラーが解決できない数日」で、講師に聞ける環境ではこの2つがほぼゼロになります。②が縮むのは、納品水準かどうかをテスト案件のような仕組みで判定できるからです。独学や短期スクールでは、この判定を案件で断られることで受けるしかなく、そこに2〜3ヶ月かかります。
一方、③はあなたが提案を何件出すかで決まり、④は受けた案件を何件積むかで決まります。スクールが提案文を添削し、業務委託制度で実務経験の場を用意することはできますが、提案の1通目を出すのも、2件目の案件を取りに行くのもあなたです。ここをスクールが代行できるように読める説明があったら、疑ってください。当校の業務委託制度も、テスト案件とCTO面接を通過した方への実務案件の依頼であって、案件を保証する制度ではありません。
4区間のどれよりも合計を伸ばすのが、①の途中での中断です。繁忙期の2週間が1ヶ月になり、そのまま戻れなくなって①が倍になる方を、当校でも見てきました。中断そのものは避けられないので、中断を前提に期間を組んでおくこと。止まったときにどう戻るかは、選び方の記事の「途中で消える5つの共通点」に書いたので、そちらを読んでください。
冒頭の「3ヶ月で副業を始めたい」という相談に戻ります。こう聞かれたとき、講師側は少し迷います。「当校では無理です」と即答すれば正直ですが、相談者が知りたいのは当校の可否ではなく、自分の場合の見通しだからです。そこで聞き返すのは「週に何時間、机に向かえますか」です。この計算をしてから来る相談者は、正直なところ多くありません。週20時間なら6ヶ月、週10時間なら9〜12ヶ月。期限を先に決めてから学習時間を逆算すると、平日3時間と週末に10時間、という現実的でない時間割になり、それが最初の中断の原因になります。
順番は逆です。週に確保できる時間を先に決め、それで①が何ヶ月になるかを出し、③の提案開始日をその手前に置く。「何ヶ月で取れるか」は、この順番で計算した結果として出てくる数字です。案件が取れた先、仕事を辞めずにどこまで届くかは働きながら学ぶWeb制作スクールの現実の記事に続きます。
要点を置いておきます。
自分の場合が何ヶ月になるかを知りたい方は、無料カウンセリングで「週に何時間取れそうか」と「いつまでに初案件がほしいか」の2つを教えてください。その2つから、学習の月数と提案開始日を一緒に逆算します。間に合わない場合は間に合わないと、その場でお伝えします。
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「自分にできるか不安」「まずは何をすればいいの?」
「副業でもできるの?」「転職もできるの?」