仕事を辞めずにどこまで行ける?
働きながら学ぶWeb制作スクールの現実

仕事を辞めずにどこまで行ける?働きながら学ぶWeb制作スクールの現実

辞めずに行ける到達点は4段階・天井を作るのは技術力ではなく時間帯・辞めるか辞めないかの二択ではない移行設計

仕事を辞めずに、Web制作でどこまで行けるのか。運営者としての答えは「副業で月10〜15万円、継続して頼んでくれる相手が2〜3社」の段階までです。ここまでは、本業を持ったまま届きます。その先、副業収入が生活費を超える段階や、企業から直接まとまった案件を受ける段階は、平日の日中に動けないことが壁になり、辞めない限り天井になります。

ただし、この天井に着く前に辞める必要はありません。「辞めて集中したほうが早いですか」。この質問をする方に、いま何本目の案件を受けているかを聞き返すと、答えはほぼ「まだ0本」です。辞めるかどうかは、天井が見えてから考えれば間に合います。

この記事では、Web制作(HTML/CSS/JavaScript)を働きながら学ぶ未経験の社会人向けに、次の順で書きます。

  1. 仕事を辞めずに行ける到達点を4段階に分けた表
  2. 天井の正体は技術力ではなく「対応できる時間帯」であること
  3. 辞めるか辞めないかの二択ではない、4段階の移行設計
  4. 辞めずに続けることのコスト
  5. 勤務形態別に、どこまで行きやすいか

週に何時間を確保するか、どのスクールを選ぶか、何ヶ月で案件が取れるかは、それぞれ別の記事に詳しく書いてあります。本記事は「到達点の上限」と「上限を越えたくなったときにどうするか」に絞ります。

仕事を辞めずに行ける到達点は4段階

「副業か、転職か、フリーランスか」という分け方だと、働きながらの現在地が分かりません。当校では、到達点を収入ではなく「状態」で4段階に分けて見ています。

段階 状態 そこに届く条件 辞めずに届くか
Lv1 納期つきで1サイトを一人で完成させ、商品として出せる 納品水準までの学習を終えていること(当校ではテスト案件の合格がこの判定) 届く
Lv2 初案件を受け、月5万円前後が単発で入る 提案を出していること。月1件のLP(ランディングページ。1枚で完結する商品紹介ページ)や下層ページの制作で到達する規模 届く
Lv3 月10〜15万円。継続して頼んでくれる相手が2〜3社 納期に余裕のある案件を月2〜3件回せる制作速度と、断らずに済む時間の確保 届く。ここが働きながらの天井
Lv4 副業収入が生活の固定費を超え、企業から直接まとまった案件を受ける 平日日中の打ち合わせ・緊急対応に応じられること 本業を減らさない限り届きにくい

「届く」は当校の受講生の到達例と運営上の見立てに基づく評価で、到達を保証するものではありません。

Lv3を天井と書いたのは、制作の腕が足りないからではありません。働きながら回せる案件の数と種類に上限があるからです。LP1本の相場を5〜10万円とすると、週10〜15時間の稼働で無理なく回せるのは月2〜3本まで。これが月10〜15万円の根拠で、これ以上は時間が足りなくなります(単価相場と時給換算の現実は副業からフリーランスへの解説記事に書いています)。

もう一つ、この表で見てほしいのは、目標は途中で上がるということです。受講生の声を引くと、営業職のH.Yさん(42歳)は「まずは副業5万円を目指して」学習を始め、当校を知った時点でフリーランスを視野に入れ、いまは「目標を変えフリーランスを目指し」ています。R.Sさん(30歳)も「最初は副業としてプログラミングを学ぼうと考えていました」が、結果としてフリーランスになりました。学習を始めた時点の目標が副業5万円でも、Lv2に届いた時点で次が見えてくるのが普通です。

天井の正体は技術力ではなく「対応できる時間帯」

Lv3から先に進めなくなる理由は、発注側の時間帯にあります。会社員の可処分時間は平日夜と週末ですが、発注側が動いているのは平日の日中です。この2つが噛み合わない案件が、Lv4の案件です。

働きながらだと構造的に受けにくい案件を、具体的に挙げます。

  • 平日日中の打ち合わせや電話対応が前提の案件。要件のすり合わせを対面や通話で進める発注者は多く、「夜か週末にお願いします」が通らない相手は一定数います
  • 緊急対応を含む案件。公開日当日の修正、サイトが表示されないという連絡。本業の勤務中に来た連絡へ数時間返せない状態は、運用まで任される案件では致命的です
  • 短納期や週次の定例がある案件。「今週金曜まで」「毎週火曜に進捗共有」は、平日夜と週末だけの稼働では回りません
  • 企業から直接受ける元請けの案件。要件定義や社内調整の会議が日中に入るため、下請けとして制作部分だけを受けるより時間帯の制約が強くなります

逆に言えば、納期に1〜2週間の余裕があるコーディング案件、LPや下層ページの制作、夜間と週末で完結する改修は、働きながらでも問題なく受けられます。Lv2〜3は、こうした案件を積み上げる段階です。

気をつけてほしいのは、断り続けることの副作用です。時間帯が合わずに案件を2回、3回と断ると、その相手からの紹介や再依頼は止まります。技術は足りているのに、時間帯を理由に次が来なくなる。これがLv3で止まる人の実際の止まり方です。当校の業務委託制度は、最初の実務案件を当校が抱える案件で経験してもらう仕組みです。講師がサポートに入れるため、この時間帯の問題を最初の1件で踏まずに済むよう設計しています(テスト案件とCTO面接を通過した方が対象で、保証ではありません。詳細は実務支援の記事に)。

辞めるか辞めないかの二択ではない|4段階の移行設計

天井が見えたときの選択肢は「辞める」「辞めない」の2つではありません。本業の比率を段階的に下げていく中間形態があり、当校ではこれを4段階で考えるよう勧めています。

段階 本業との関係 次の段階に進んでよいトリガー
①完全兼業 本業はそのまま。学習と制作は平日夜と週末(週10〜20時間) Lv2に届き、時間帯を理由に案件を断った経験が2回以上ある
②本業を減らす 残業を減らす交渉、有給の計画的な消化、可能なら時短や週4勤務への切り替え Lv3の月10〜15万円が3ヶ月続き、継続の相手が2社以上いる
③比率を逆転させる 制作を主、本業を「生活費の保険」に。業務委託や契約社員への切り替えも選択肢 副業収入が固定費を超える月が出始め、日中対応できれば受けられた案件が具体的にある
④完全独立 本業を離れる 固定費超えが3ヶ月連続、継続クライアント2〜3社、生活費6ヶ月分の貯蓄(条件の詳細は下記リンク)

④の条件は副業からフリーランスへの解説記事で「独立を判断する3つの条件」として書いたものです。本記事で足したのは、その手前の①〜③です。「辞めるべきか」と悩む人の多くは①にいて、実際に必要なのは②への移行だけだった、というケースが大半です。残業を月20時間減らせれば、週5時間の制作時間が生まれます。これは辞めなくてもできます。

「辞めて転職する」というルートを選ぶ場合も、数字を一つ見ておいてください。厚生労働省の令和5年雇用動向調査によると、転職した人のうち前職より賃金が増えた割合は37.2%、減った割合は32.4%、変わらないが28.8%です(全産業・全年齢の数字で、未経験からのWeb業界転職に限った統計ではありません)。増えた人のほうがわずかに多いとはいえ、3人に1人は下がっています。転職は年収が上がる前提の選択ではない、というのがこの数字の読み方です。転職か独立かは実績を持ってから選ぶ。当校がこの順番を勧める理由は30代の記事に書きましたが、この数字もその理由の一つです。

辞めずに続けることのコストも書いておく

ここまで「辞めなくていい」と書いてきましたが、辞めないことにもコストがあります。安全な代わりに遅い、という現実です。

一つ目は期間です。週20時間で6ヶ月の当校のカリキュラムは、週10時間なら9〜12ヶ月かかります。学習が長引くほど、途中で技術の前提が変わる可能性も上がります。期間の見積もりは何ヶ月で案件が取れるかの記事に譲りますが、「働きながら=時間がかかる」は受け入れて始めてください。

二つ目は、前の章で書いた紹介の停止です。時間帯を理由に断り続けると、技術とは無関係に案件が来なくなります。①の段階が長引くほど、この損失は積み上がります。

三つ目は体力と家庭です。平日の夜と週末を1年近く学習と制作に使う生活は、本人だけでなく家族の予定を削ります。40代の記事では、時間と家族の合意を先に設計することを、差がつく条件の3つ目に挙げています(40代の記事の条件3)。家族の理解なしに続く生活ではありません。

講師として「辞めたほうが早い」と思う受講生も、少数ですがいます。制作の腕はLv3を超えているのに、日中に動けないというだけで案件を断っている方です。それでも当校から「辞めましょう」とは言いません。収入が途切れた状態で提案と制作を続けると、単価を下げてでも受けたくなり、Lv3の手前で消耗します。それを見てきたので、代わりに伝えるのは②の「本業を減らす」から始める提案です。判断そのものは本人と家族のものです。

勤務形態別に、どこまで行きやすいか

同じ「働きながら」でも、勤務形態で天井の高さが変わります。時間の作り方ではなく、到達点の観点で整理します。当校の受講生の入会時の状況を添えました。

勤務形態 行きやすさ 理由 当校の受講生(入会時)
シフト制・平日に休みがある Lv3を超えやすい 平日日中に打ち合わせや連絡対応ができるため、会社員が受けにくい案件も受けられる 美容師25歳、サービス業33歳
定時退社できる会社員 Lv2〜3が安定 平日夜が固定で使えるため、納期に余裕のある案件を月2〜3件回せる。日中対応が壁 製造業27歳
残業が多い・役職がある Lv2まで長期戦 週10時間の確保が先。学習期間が延びる前提で、②の「残業を減らす」を早めに検討 営業職42歳(役職のある本業と両立)
自営業・体を使う仕事 閑散期次第 繁忙期は止まる前提。閑散期に集中して進める設計が合う 自営業37歳
夜勤・交代制 効率は落ちるが届く 夜勤明けを固定の学習時間にする。実例は救急事務から独立した卒業生の記事 (上記リンク先を参照)

意外に思われるかもしれませんが、天井が高いのはシフト制の方です。会社員より平日日中に動けるため、Lv4の案件に手が届きます。逆に、収入が安定している定時退社の会社員ほど、Lv3で止まりやすい。天井の正体が時間帯だという話は、ここにもそのまま当てはまります。

なお、表の受講生は入会時の職種で、現在の到達段階を示すものではありません。3人の入会時の状況は選び方の記事で紹介しています。到達しやすさの評価は当校の運営上の見立てです。週の学習時間そのものの作り方は社会人向けWeb制作スクールの選び方の記事で勤務パターン別に書いています。

当校の場合|働きながらを前提にした設計

AddedPallasの受講生は、多くが働きながら学んでいます。教材は24時間閲覧でき、質問はチャットで無制限、コード添削や質問への回答は1営業日以内に返します。学習時間は週20時間を想定していますが、週15時間で完遂した方もいます。

カリキュラムの最後にあるテスト案件は、上の表のLv1を「感覚」ではなく「判定」にする仕組みです。合格とCTO面接を通過した方には、業務委託制度で最初の実務案件を経験してもらいます。転職保証はなく、業務委託制度も保証ではありません。体制の詳細はサポート体制のページにあります。

よくある質問

働きながらWeb制作スクールに通って、転職はできますか?
できる人はいますが、当校は転職を主戦場にすることを勧めていません。正社員転職には年齢条件が現実にあるためです。本業を残して実績を作ってから選ぶ理由と年齢別の考え方は30代40代の記事に書いています。
仕事を辞めて学習に集中したほうが早いですか?
学習期間だけなら縮みます。ただし、案件が取れるまでの期間は提案の量で決まり、辞めても縮みません。収入が途切れた状態では単価を下げてでも受けたくなるので、まず1本目の案件を受けてから、本業を減らす段階を検討してください。
働きながらフリーランスになれますか?
副業で月10〜15万円、継続の相手が2〜3社という段階までは働きながら届きます。その先は平日日中の対応が必要になるため、本業の比率を下げる段階を挟むのが現実的です。独立の判断条件は副業からフリーランスへの解説記事にまとめています。
副業を会社に伝える必要はありますか?
就業規則の確認が先です。副業禁止規定、届出制、住民税の扱いなど、会社員が確認すべき点は「プログラミング副業はやめとけ」の記事のよくある質問にまとめています。確認は学習中に済ませておくと、初案件が決まってから止まらずに済みます。

まとめ|天井が見えてから、本業の減らし方を考える

要点を置いておきます。

  • 仕事を辞めずに届くのはLv3(月10〜15万円・継続2〜3社)まで。天井を作るのは技術力ではなく、平日日中に対応できるかという時間帯の問題
  • 辞めるか辞めないかは二択ではない。完全兼業→本業を減らす→比率を逆転→独立の4段階で、多くの人に必要なのは②への移行だけ
  • 辞めないコストは「遅い」こと。期間が延び、時間帯を理由に断ると紹介が止まる。それでも生活費の不安を抱えて学ぶより、遅いほうを勧める
  • 天井の高さは勤務形態で変わる。平日日中に動けるシフト制は会社員より上に届く

自分の勤務形態だとどこまで届きそうか、天井に着いたら本業をどう減らすかは、無料カウンセリングで一緒に見立てます。「辞めるべきか」で止まっている方は、まず今の段階がLv1〜4のどこかを教えてください。

この記事を書いた人

AddedPallas編集部
実務特化型オンラインプログラミングスクール「AddedPallas」(運営: 株式会社SynerCreate)の編集チーム。受講生の学習データとカウンセリングで寄せられる相談をもとに、未経験からWeb制作・プログラミングで収入を得るための情報を発信しています。

監修: AddedPallas 現役エンジニア講師(サポート体制はこちら)
Web制作・フロントエンド開発の実務と並行して受講生の指導を担当。本記事の到達段階と時間帯に関する記述は、当校の業務委託制度での実案件対応と、働きながら学ぶ受講生への指導実績に基づいて監修しています。

制作プロセスについて: 本記事は編集部が執筆し、現役エンジニア講師が内容の正確性を監修しています。受講生の紹介は当サイト掲載の本人コメント(入会時の状況)に基づき、到達しやすさの評価は当校の運営上の見立てです。成果を保証するものではありません。本記事はスクール運営者による執筆であり、その立場を本文中に開示しています。

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