仕事を辞めずに、Web制作でどこまで行けるのか。運営者としての答えは「副業で月10〜15万円、継続して頼んでくれる相手が2〜3社」の段階までです。ここまでは、本業を持ったまま届きます。その先、副業収入が生活費を超える段階や、企業から直接まとまった案件を受ける段階は、平日の日中に動けないことが壁になり、辞めない限り天井になります。
ただし、この天井に着く前に辞める必要はありません。「辞めて集中したほうが早いですか」。この質問をする方に、いま何本目の案件を受けているかを聞き返すと、答えはほぼ「まだ0本」です。辞めるかどうかは、天井が見えてから考えれば間に合います。
この記事では、Web制作(HTML/CSS/JavaScript)を働きながら学ぶ未経験の社会人向けに、次の順で書きます。
週に何時間を確保するか、どのスクールを選ぶか、何ヶ月で案件が取れるかは、それぞれ別の記事に詳しく書いてあります。本記事は「到達点の上限」と「上限を越えたくなったときにどうするか」に絞ります。
「副業か、転職か、フリーランスか」という分け方だと、働きながらの現在地が分かりません。当校では、到達点を収入ではなく「状態」で4段階に分けて見ています。
| 段階 | 状態 | そこに届く条件 | 辞めずに届くか |
|---|---|---|---|
| Lv1 | 納期つきで1サイトを一人で完成させ、商品として出せる | 納品水準までの学習を終えていること(当校ではテスト案件の合格がこの判定) | 届く |
| Lv2 | 初案件を受け、月5万円前後が単発で入る | 提案を出していること。月1件のLP(ランディングページ。1枚で完結する商品紹介ページ)や下層ページの制作で到達する規模 | 届く |
| Lv3 | 月10〜15万円。継続して頼んでくれる相手が2〜3社 | 納期に余裕のある案件を月2〜3件回せる制作速度と、断らずに済む時間の確保 | 届く。ここが働きながらの天井 |
| Lv4 | 副業収入が生活の固定費を超え、企業から直接まとまった案件を受ける | 平日日中の打ち合わせ・緊急対応に応じられること | 本業を減らさない限り届きにくい |
「届く」は当校の受講生の到達例と運営上の見立てに基づく評価で、到達を保証するものではありません。
Lv3を天井と書いたのは、制作の腕が足りないからではありません。働きながら回せる案件の数と種類に上限があるからです。LP1本の相場を5〜10万円とすると、週10〜15時間の稼働で無理なく回せるのは月2〜3本まで。これが月10〜15万円の根拠で、これ以上は時間が足りなくなります(単価相場と時給換算の現実は副業からフリーランスへの解説記事に書いています)。
もう一つ、この表で見てほしいのは、目標は途中で上がるということです。受講生の声を引くと、営業職のH.Yさん(42歳)は「まずは副業5万円を目指して」学習を始め、当校を知った時点でフリーランスを視野に入れ、いまは「目標を変えフリーランスを目指し」ています。R.Sさん(30歳)も「最初は副業としてプログラミングを学ぼうと考えていました」が、結果としてフリーランスになりました。学習を始めた時点の目標が副業5万円でも、Lv2に届いた時点で次が見えてくるのが普通です。
Lv3から先に進めなくなる理由は、発注側の時間帯にあります。会社員の可処分時間は平日夜と週末ですが、発注側が動いているのは平日の日中です。この2つが噛み合わない案件が、Lv4の案件です。
働きながらだと構造的に受けにくい案件を、具体的に挙げます。
逆に言えば、納期に1〜2週間の余裕があるコーディング案件、LPや下層ページの制作、夜間と週末で完結する改修は、働きながらでも問題なく受けられます。Lv2〜3は、こうした案件を積み上げる段階です。
気をつけてほしいのは、断り続けることの副作用です。時間帯が合わずに案件を2回、3回と断ると、その相手からの紹介や再依頼は止まります。技術は足りているのに、時間帯を理由に次が来なくなる。これがLv3で止まる人の実際の止まり方です。当校の業務委託制度は、最初の実務案件を当校が抱える案件で経験してもらう仕組みです。講師がサポートに入れるため、この時間帯の問題を最初の1件で踏まずに済むよう設計しています(テスト案件とCTO面接を通過した方が対象で、保証ではありません。詳細は実務支援の記事に)。
天井が見えたときの選択肢は「辞める」「辞めない」の2つではありません。本業の比率を段階的に下げていく中間形態があり、当校ではこれを4段階で考えるよう勧めています。
| 段階 | 本業との関係 | 次の段階に進んでよいトリガー |
|---|---|---|
| ①完全兼業 | 本業はそのまま。学習と制作は平日夜と週末(週10〜20時間) | Lv2に届き、時間帯を理由に案件を断った経験が2回以上ある |
| ②本業を減らす | 残業を減らす交渉、有給の計画的な消化、可能なら時短や週4勤務への切り替え | Lv3の月10〜15万円が3ヶ月続き、継続の相手が2社以上いる |
| ③比率を逆転させる | 制作を主、本業を「生活費の保険」に。業務委託や契約社員への切り替えも選択肢 | 副業収入が固定費を超える月が出始め、日中対応できれば受けられた案件が具体的にある |
| ④完全独立 | 本業を離れる | 固定費超えが3ヶ月連続、継続クライアント2〜3社、生活費6ヶ月分の貯蓄(条件の詳細は下記リンク) |
④の条件は副業からフリーランスへの解説記事で「独立を判断する3つの条件」として書いたものです。本記事で足したのは、その手前の①〜③です。「辞めるべきか」と悩む人の多くは①にいて、実際に必要なのは②への移行だけだった、というケースが大半です。残業を月20時間減らせれば、週5時間の制作時間が生まれます。これは辞めなくてもできます。
「辞めて転職する」というルートを選ぶ場合も、数字を一つ見ておいてください。厚生労働省の令和5年雇用動向調査によると、転職した人のうち前職より賃金が増えた割合は37.2%、減った割合は32.4%、変わらないが28.8%です(全産業・全年齢の数字で、未経験からのWeb業界転職に限った統計ではありません)。増えた人のほうがわずかに多いとはいえ、3人に1人は下がっています。転職は年収が上がる前提の選択ではない、というのがこの数字の読み方です。転職か独立かは実績を持ってから選ぶ。当校がこの順番を勧める理由は30代の記事に書きましたが、この数字もその理由の一つです。
ここまで「辞めなくていい」と書いてきましたが、辞めないことにもコストがあります。安全な代わりに遅い、という現実です。
一つ目は期間です。週20時間で6ヶ月の当校のカリキュラムは、週10時間なら9〜12ヶ月かかります。学習が長引くほど、途中で技術の前提が変わる可能性も上がります。期間の見積もりは何ヶ月で案件が取れるかの記事に譲りますが、「働きながら=時間がかかる」は受け入れて始めてください。
二つ目は、前の章で書いた紹介の停止です。時間帯を理由に断り続けると、技術とは無関係に案件が来なくなります。①の段階が長引くほど、この損失は積み上がります。
三つ目は体力と家庭です。平日の夜と週末を1年近く学習と制作に使う生活は、本人だけでなく家族の予定を削ります。40代の記事では、時間と家族の合意を先に設計することを、差がつく条件の3つ目に挙げています(40代の記事の条件3)。家族の理解なしに続く生活ではありません。
講師として「辞めたほうが早い」と思う受講生も、少数ですがいます。制作の腕はLv3を超えているのに、日中に動けないというだけで案件を断っている方です。それでも当校から「辞めましょう」とは言いません。収入が途切れた状態で提案と制作を続けると、単価を下げてでも受けたくなり、Lv3の手前で消耗します。それを見てきたので、代わりに伝えるのは②の「本業を減らす」から始める提案です。判断そのものは本人と家族のものです。
同じ「働きながら」でも、勤務形態で天井の高さが変わります。時間の作り方ではなく、到達点の観点で整理します。当校の受講生の入会時の状況を添えました。
| 勤務形態 | 行きやすさ | 理由 | 当校の受講生(入会時) |
|---|---|---|---|
| シフト制・平日に休みがある | Lv3を超えやすい | 平日日中に打ち合わせや連絡対応ができるため、会社員が受けにくい案件も受けられる | 美容師25歳、サービス業33歳 |
| 定時退社できる会社員 | Lv2〜3が安定 | 平日夜が固定で使えるため、納期に余裕のある案件を月2〜3件回せる。日中対応が壁 | 製造業27歳 |
| 残業が多い・役職がある | Lv2まで長期戦 | 週10時間の確保が先。学習期間が延びる前提で、②の「残業を減らす」を早めに検討 | 営業職42歳(役職のある本業と両立) |
| 自営業・体を使う仕事 | 閑散期次第 | 繁忙期は止まる前提。閑散期に集中して進める設計が合う | 自営業37歳 |
| 夜勤・交代制 | 効率は落ちるが届く | 夜勤明けを固定の学習時間にする。実例は救急事務から独立した卒業生の記事に | (上記リンク先を参照) |
意外に思われるかもしれませんが、天井が高いのはシフト制の方です。会社員より平日日中に動けるため、Lv4の案件に手が届きます。逆に、収入が安定している定時退社の会社員ほど、Lv3で止まりやすい。天井の正体が時間帯だという話は、ここにもそのまま当てはまります。
なお、表の受講生は入会時の職種で、現在の到達段階を示すものではありません。3人の入会時の状況は選び方の記事で紹介しています。到達しやすさの評価は当校の運営上の見立てです。週の学習時間そのものの作り方は社会人向けWeb制作スクールの選び方の記事で勤務パターン別に書いています。
AddedPallasの受講生は、多くが働きながら学んでいます。教材は24時間閲覧でき、質問はチャットで無制限、コード添削や質問への回答は1営業日以内に返します。学習時間は週20時間を想定していますが、週15時間で完遂した方もいます。
カリキュラムの最後にあるテスト案件は、上の表のLv1を「感覚」ではなく「判定」にする仕組みです。合格とCTO面接を通過した方には、業務委託制度で最初の実務案件を経験してもらいます。転職保証はなく、業務委託制度も保証ではありません。体制の詳細はサポート体制のページにあります。
要点を置いておきます。
自分の勤務形態だとどこまで届きそうか、天井に着いたら本業をどう減らすかは、無料カウンセリングで一緒に見立てます。「辞めるべきか」で止まっている方は、まず今の段階がLv1〜4のどこかを教えてください。
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「副業でもできるの?」「転職もできるの?」